サンタ。忘れもの。
2011 | installation, interactive device, iamas graduate work
「サンタクロースのとある物語。
そのアニメーションを物質そのもので再現したい。あの想い。試み。」
たとえば、手でふれたその手ざわりとともに、確かにそこに実在することが確認できるような物質性を持つものに魅力を感じます。自身の経験を振り返っても、データが紙やインクとともに形として現れたときでさえ、コンピュータ上でのデジタルな現れとはまた違った段階での感動があるものです。
本作品は、その物質性を追い求めた末のインスタレーションです。
映像という時間軸を持つ表現手法においては、ディスプレイなどの装置内の光の変調による再現からなかなか切り離せずにいます。印刷物におけるインクの物理的な重なりのように、アニメーションを塗料という物質そのもので再現する試みです。
鑑賞者がアニメーションを覗き込むことで、再生装置となる3台の各液晶ディスプレイからは、各々、色の涙としての「シアン」「マゼンタ」「イエロー」の塗料があふれ流れ、そして軌跡を描きます。
「確かな物質性を追い求めてー」
その「想い」「感情」は、塗料の流れや織り成すリズムとなって表れます。
流れ落ちるその塗料は、時間の積み重ねとともに固まり、定着を繰り返し、鑑賞者の偶然により無作為な塗料の層を形成します。
それは、映っては消え、消えては映る映像のフレームを、確かな物質としてそこに留めておくことに成功し、
支持体へと残るその軌跡はまた、理想に対する涙として描かれることとなります。
IAMAS 2011 卒業制作展
会期:2011年2月17日 – 20日
会場:ソフトピアジャパンセンタービル
http://www.iamas.ac.jp/exhibit11/